Googleはいまだに全社的な“壮大な戦略”を公表していない。しかし、以下の8領域における同社の意思決定は、業界全体に影響を及ぼすだろう。
一般に、マイクロソフトやオラクルは新市場へ参入する際、雄大なビジョンや製品ロードマップを掲げる。だがGoogleの流儀は異なる。ある日突然ベータ版を出し、既存と大差ないように見えることもある。市場拡張の意図が明白でも、各プロダクトの目標は単機能で、全社戦略との直結は見えにくい。CEOエリック?シュミットは「包括的ビジョンは作らないし、それが無いことを嬉しく思う」と語っている。つまり、Googleには“1点集中”ではなく**関心のある多数領域で同時に新規性を試す**という独特の戦略があるのだ。
以下は盗み見た内幕ではなく、一部はGoogleが『InformationWeek』に明かした内容である。神秘的に見えるのは、寡黙な同社が次の一手を明言しないからに過ぎない。
1. オフラインの世界はどれほど大きいのか?
Googleは次々と新分野へ踏み出している。Google Earth、NASAとの協業、Google Pack、VoIP、図書館蔵書のスキャン……。
収益は大きく三本柱:**自社サイトのオンライン広告56%**、**他社サイト等との提携広告43%**、その他1%。オンライン広告への依存が高いため、AOLの5%を10億ドルで取得し、提携収益を守りつつMicrosoft陣営入りを阻んだ。
多角化の意図は明白だ。年初には**dMarc Broadcasting**買収でラジオ広告自動化に参入。AdWordsと統合し“ネット×放送”の広告販売を目指す。対価は**現金1.02億ドル**、3年で目標達成なら**最大11億ドル**まで価値が跳ね上がる条項付き。
紙媒体でも、PC Magazine、Maximum PC、Budget Living、Chicago Sun-Timesなどで小規模トライアルを実施。**パートナーのローカル営業網**を活かし広告価値を創出する狙いだ。
広告販売戦略責任者パトリック?キーンは、当面は**インターネット?ラジオ?紙**に注力と述べるが、ビジョンは「責任ある?効率的?関連性が高く?大規模な」広告配信と広い。Googleは**CBS番組やNBA映像の販売**にも踏み込み、**動画広告**参入はほぼ確実だ。
一方で、テレマーケティングやダイレクトメールへ踏み込むかは慎重さが要る。Google Talkは無料?広告無しだが、永続できるかは不透明。IP電話での広告は魅力に乏しく見えても、**マーケターは新媒体を試す**。
世界規模で情報を提供するやり方は**機会とリスク**を併せ持つ。ユーザー情報で価値を生む企業にとって、「**何を売り、何を売らないか**」の線引きこそ最大の課題となる。
2. それは“PC”ではないのか?
(Thomas Claburn)
CESでのラリー?ペイジの講演は、動画販売やGoogle Packの話に終始し、**Wal-Martと組んだ“Google PC”**の噂(同社は否定)に答えなかった。Wyse TechnologyはGoogleと**非Windowsの端末**について議論したとし、**200ドル程度で中国?インドで通信事業者経由販売**の可能性にも言及。PC以外の家電へ広がるのかという問いには、**ほぼイエス**だ。既存の**企業向け検索アプライアンス**(約3万ドル)やGoogle Miniの存在が示す。
社内ではこれを**善意のトロイの木馬**と捉える向きもある。企業のファイアウォールを回避し(広告を止める壁を越え)**企業内でGoogleプラットフォームを広げる**意図だ。伝統的PCを売る意味は小さいが、**“ネットへの玄関口”デバイス**は希少資源。中国?インドや、先進国の**リビングのマルチメディア環境**に入口を提供することは合理的だ。Googleの目標「**世界中の情報を組織化し、いつでもどこでも容易に利用可能にする**」を果たすために**ハードが要るなら、作る**。
3. 検索市場は盤石か?
(T.C.)
Piper Jaffrayによれば、**検索連動型広告が最速成長**で今年41%増の見込み。Googleはこの領域の覇者だ。Nielsen//NetRatingsでは**スポンサードリンク数でGoogleが1.65兆、Yahooは0.9兆**(当時)。eMarketerは**有料検索広告の約7割**をGoogleが握るとする。
それでも**事業の裾野拡大**は必要だ。Yahooは広告収入の85%がオンラインで、そのうち**検索とディスプレイが半々**。2005年のオンライン広告129億ドルのうち、Yahooは**28%シェア**。
「Googleは**ディスプレイ広告への展開**を加速すべき」とForresterのチャーリン?リー。Googleの顧客は**ダイレクト寄り**で、**ブランド広告**の知見?信用でMicrosoftやYahoo、AOLに劣る。Ask Jeeves(現IAC配下)も侮れない。バリー?ディラーの手腕は過去に市場の常識を覆してきた。
**検索広告の伸長は過小評価**されてきたが、投資家は**他領域でも同様の力**を期待している(Citigroup マーク?マハニー)。
4. デスクトップソフトの次の一手は?
(Alice Laplante)
Googleのクライアントソフトの歴史は**Toolbar(2000年)**から。Web 2.0でネットは**配信プラットフォーム**となり、Microsoftも**Office Live**でネットワーク化と広告モデルへ。Googleは**フルのオフィス群**を出すのか?
Microsoftが**ロードマップ+大部隊**で臨む一方、Googleは**個人の体験**から始める。家庭PCに使いやすいアプリが無い――そこから**Google Pack**(デスクトップ検索、Talk、Norton AV、アドウェア/スパイウェア対策、Firefox、Adobe Reader等)をCESで発表。「**情報を整理し、入手しやすくする**」が軸で、**必要とされるクライアントを都度提供**する、とSundar Pichai。
Packは**ユーザーのデスクトップへの入口**として機能し、「**Googleから“ソフト”を得る**」習慣を作る。GartnerのAllen Weinerは、**インストーラとアップデータ**の提供が肝要と指摘。Web 2.0では**“SaaS”の生産性アプリを頻繁アップデート**で届け得る。
MicrosoftのLive計画は**精密なオンライン広告**を伴いGoogleの牙城へ。Googleも手をこまねいてはいられない。
5. 次の“電話会社”になるのか?
(J. Nicholas Hoover)
GoogleのVoIP参入は同社らしく**戦略宣言なしで技術から**。2005年、**Google Talk**(IM+音声、無料ベータ、広告無し)を開始。2006年初には**オープン標準**を採用し他IMと相互運用へ。商用モデルは未公表。「機能拡張と品質向上に注力。計画中の新機能は準備でき次第」とする。
同社は**ダークファイバー**技術者の採用で通信界をどよめかせ、**本社のWi-Fi提供**、**Google Secure Access(Wi-Fi VPN)**、**サンフランシスコ全住民への無線提案**、**電力線ブロードバンドのCurrent Communications Groupへ1億ドル**出資など、**アクセス環境整備**にも意欲的。目的は**接続料ビジネス**ではなく、**誰もが無料でネットに接続**できる環境――「**どこでも安価なインターネットは社会?経済に不可欠**。無料Wi-Fiはその一歩」。接続無くしてGoogleのユーザー無し、である。
VoIPでは、**広告付き通話**、**電話番号と検索のUI統合**、**サードパーティ拡張**などが見込まれる。**Jabberのオープン標準**を用いIMの相互運用性を高め、**音声×他コミュニケーションの統合**を図る。市場の覇権は不要でも、**通信市場で一定の地歩**は必要だ、と同社オープンソース責任者Chris DiBona。
6. 幕の裏側では何が起きているのか?
(J.N.H)
米政府の検索データ要求を拒んだことで**プライバシー擁護**の評価を得た一方で、**商業機密**を守る姿勢の強さも浮き彫りに。**世界最大の情報工場**の運用を明かさない。
2003年の論文「Web Search for a Planet: The Google Cluster Architecture」では、**1.5万台超のx86 Linuxサーバ**とクラスタを説明していたが、今や**台数もDC数も非公開**。**専用?高度カスタム**の装置が多い。課題は**発熱**。当時のラックは**1平方フィート当たり400~700W**(一般DCは70~150W)。**冷却用バッフルの特許**も取得。Barrosoは「**ワット当たり性能**が伸び悩めば、電力コストがハードを上回り、利益を侵食」と警鐘。**マルチコア**が最有力解とし、**SunのUltraSPARC T1**などの省電力多コアで、汎用x86からの一部シフトもあり得る。**Sunとの戦略提携**(2005年秋)もこの文脈上にある。
**専用ソフト+専用ハード**でアプリ効率も人の生産性も上げる――人?サーバ?電力?DC設備に依存する企業にとって、**インフラこそ全ての起点**だ。
7. 巨額M&Aに動くのか?
(T.C.)
Googleは**76億ドル超の現金?有価証券**、**時価総額約1,280億ドル**。大型買収は可能だが、**カルチャー重視**の同社にとって**人の統合コスト**は重く、AOL–Time Warnerの前例が示すように**巨大合併は重荷**になり得る。
実際は**小規模買収で技術?モデルを補完**する路線。2006年初に**dMarc(1.02億ドル)**、2005年には**Urchin**(現Google Analyticsとして無料化)、2004年には**Keyhole**(半年後にGoogle Mapsへ統合)。地位が脅かされる局面では**AOLへ10億ドル出資**のような一手も。今後も**より大きな取引**の可能性はあるが、「検索の“即時性”のように、**粘着的(ロックイン)ではない**」(Nucleus Research Ian Campbell)。とはいえ、Microsoftが攻勢を強める中、**豊富な資金を活かした買収**は有効な対抗策となる。
8. 中国でどう戦うのか?
(Tony Kontzer)
Google中国は最近、**李開復**(元Microsoft副総裁、Google中国総裁)、**周韶寧**(元UTスターコム中国区総裁、Google大中華圏セールス/事業開発総裁)を迎え、ヴェールが一部はがれた。
同社は**中国政府の規定に基づく検閲**を受け入れる代わりに**Google.cn**を開設。しかし掲示板検索やディレクトリ、新着学術検索は外し、**ブログやメールは提供しない**(個人情報提出要求への懸念)。**使命と価値観**を海外市場へどう適応させるかという**難題**がここから始まる。
一方で**積極採用**を続け、上限無しの採用方針を公表。**AdWords代理店(5社)**とも契約し、中国企業の**キーワード広告出稿**を推進。Google?AdWords?AdSenseのエコシステムを**大中華圏で拡張**している。
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